今回は、
・ベタ足にはどんなリスクがあるのか
・練習する上での注意点
を紹介していきます。
これからベタ足スイングの練習をしようと思っている方や、ベタ足スイングをすると身体の調子が悪い(痛い)という方に役立つ記事です。
こんにちは!
いつもご覧いただきありがとうございます。
ゴルフフィジオトレーナーのケイです。
では、まずはベタ足スイングについてみていきましょう!
ご存知の方は飛ばしてくださいね。
ゴルフのベタ足スイングとは?
ゴルフにおけるベタ足スイングとは、「右足のかかとが浮かないでスイング」することを指します。
通常スイングをしていると、ダウンスイングからインパクトにかけて右のかかとが浮いてきます。
ベタ足スイングはインパクトを迎えてもかかとが地面についている(もしくは少しだけ浮いている)状態で、スイングをします。
韓国の女子プロに多いベタ足スイング
女子プロのツアーをみていると、特に韓国のプロに多い印象がありますよね。
「イ・ボミ」や「アン・ソンジュ」、「シン・ジエ」なんかもそうですね。
彼女らはベタ足スイングにより安定したスイングをして優勝しています。
そのため、ベタ足スイングが一躍脚光を浴びて雑誌などでも特集されるようになりました。
そんなベタ足スイングですが、どんなメリットがあるのでしょうか?
今回はベタ足スイングの危険性について書きたいのですが、まずは良いところもみていきましょう!
メリット①体が伸び上がらずスライスやトップを防げる
一つ目は、
「体の伸び上がりを防げる」です。
ダウンスイングからインパクトにおいて、かかとが浮いてしまうと体が真上に伸び上がってしまいます。
これは右のつま先で床を蹴ってしまうことにより、インパクトより前にジャンプした状態になってしまうからなんですね。
その状態でボールに当てようとすると、トップになってしまったりボールが捕まらずスライスになってしまいます。
ベタ足スイングにすることで、この伸び上がりを防げるので打球が安定するんです。
メリット②右肩が突っ込まないのでスライスが出ない
二つ目は、
「右肩が開く(突っ込む)のを防げる」です。
右のかかとが浮くことでインパクトを迎えるまでに、早い段階で右肩が開いて(突っ込んで)しまいます。
そうすると、アウトサイドインのカット軌道になりスライスが出てしまいます。
ベタ足スイングはしっかりと右方向を向いたままダウンスイングできるので、インサイドからクラブが降りやすいんだと思います。
メリット③床反力を有効に使える
最後の一つは、
「床反力を有効に使える」ことです。
インパクトでも伸び上がらずに右足が地面についていることで、しっかりを地面を踏むことができます。
そうすると床反力を得られるので、インパクトにおいて強い力をボールに伝えることができて飛距離アップに繋がるのです。
床反力については、物理学的に詳しく簡単に解説していますので気になる方は参考にしてください。

ベタ足スイングの良いところを紹介したところで、本題にうつりましょう!
あまりやりすぎると、上達する前にケガをしてゴルフを離脱なんてこともありますよ!
ベタ足スイングのやりすぎは腰やひざを痛める
実際にベタ足スイングを取り入れているプロは、スイングに必要なトレーニングをしっかりと行っています。
さらに女子プロは特に関節も柔らかいです。
そのためベタ足スイングを行っていてもさほど身体に負担はかからないでしょう。
しかし普段トレーニングをしていないアマチュア、
特に男性の方は関節も硬いため、ベタ足スイングをしすぎると関節に負担がかかり身体を痛める危険性があります。
特に負担がかかりやすいのが、
・腰
の2カ所です。
それぞれどんな負担がかかるのでしょうか?
リスク①右ひざが捻れてストレスがかかる
一つ目は右ひざです。
ベタ足スイングにすると、右ひざが内側に入ってしまいひざの関節や靭帯に大きな負担がかかります。
どういうことかというと、
インパクト以降、身体は打ち出し方向(画像では右側)を向きます。
本来はそれに連動してひざも回るのが理想ですが、ベタ足だとつま先はそのまま正面を向いています。
そうするとひざの向きとつま先の向きが異なってしまい、これがひざへ大きな負担がかかる原因となるのです。
一般的なスイングでは右の母指球を中心につま先も回るので、ひざに大きな捻れの負担はかかりません。
また外反と言って、ひざが横に折れる動きも伴います。
外反によりひざの内側の靭帯や筋肉に負担がかかり、こちらも痛める原因になります。
バスケやスキーなどのしゃがむ動きが多いスポーツにおいてもよくみられ、
このひざが内側に入る外反により「前十字靭帯」や「内側側副靭帯」などの、ひざを支えるのに重要な靭帯を損傷する方が多いです。
ゴルフではタイガーウッズも左の前十字靭帯を痛めて手術してあるので、ご存知の方もいるかと思います。
どうして捻れるとひざが痛くなるのかは、こちらにまとめているので参照してください。

リスク②下半身が回らないと腰に回旋ストレスがかかる
もう一つは腰に負担がかかります。
足の話をしているのに腰が関係あるの?と思うかもしれませんが、非常に関係が深いんです。
ゴルフスイングは回転運動なのですが、その多くは股関節と胸椎(胸のあたりの背骨)で起きている回旋なのです。
しかし、ベタ足スイングにすることで股関節の動きが制限されてしまうため、骨盤の動きが止まってしまいやすいです。
そのため、代償的に腰を回旋することでスイングをしてしまう傾向にあります。
股関節の柔軟性がある女性や若い方は問題ないかもしれませんが、特に中年以降の男性は股関節の柔軟性が低下している方が多いです。
ベタ足スイングを練習してみて腰に違和感や痛みを感じる方は注意が必要です。
ベタ足スイングが悪いわけではありませんが、無理に行うこともケガの原因になるということですね。
では、どんな点を注意してスイングに取り入れていけば良いのでしょうか?
ベタ足スイングを取り入れる注意点は??
ベタ足スイングのデメリットとしては、
・股関節が動きづらく腰に負担がかかる
に2点でしたね。
あるポイントを気をつけるだけで、ベタ足スイングのケガのリスクは激減します。
インパクト以降はベタ足にならないように
一つ目は、
「インパクト以降もベタ足にしない」ことです。
ベタ足スイングの恩恵が受けられるのはインパクトまでです。
しかし、ベタ足を意識しすぎるあまりフォロースルーまでずっとかかとがついたままの方がいます。
実際にそれを推奨しているレッスンもあるようですが、医学的にはひざの負担が大きすぎるのでオススメはできません。
インパクト以降は右足の母指球を中心に回転して、フィニッシュを取れるように気をつけて練習をしましょう。
先ほど説明したリスクである、ひざの捻れと腰の負担はインパクト以降に増大します。
そのためフォロースルー以降のフォームを注意することで、比較的安全にベタ足スイングを取り入れることができます。
男性は特に注意!股関節を柔らかくしよう
もう一つのポイントは、
「股関節を柔らかくする」ということです。
腰の負担のところでも触れましたが、股関節が柔らかければ腰が過剰に回旋することはありません。
特に重要なのは、右股関節の「外旋」という動きです。
この外旋の柔軟性がよくなることで、ベタ足でも骨盤の回旋がスムーズになります。
そうすることで腰の回旋も少なくなり腰痛のリスクの少ないスイングができるようになります。
では外旋の可動性を出すにはどうすれば良いのでしょうか?
一番効果的なのは「ストレッチ」です。
こちらで外旋の可動性を上げるためのストレッチを詳しく紹介していますので、ぜひやってみてください。

まとめ
今回はベタ足スイングの危険性について医学的に考察してみました。
雑誌やレッスン動画などではベタ足スイングの良いところしか取り上げていませんが、実は身体が硬い方が行うとケガにつながる危険があるんですね。
スイング自体は理にかなっていて素晴らしいと思うので、ぜひこの記事の注意点に気をつけながら練習してみてくだい。
ポイントは、
・股関節の柔軟性を出す
ということでしたね。
飛距離を出すための筋力トレーニングも重要ですが、同じくらいストレッチで柔軟性を向上するのも重要ですよ!
何かわからないことがあれば気軽にメッセージ待ってます!
ここまでご覧になっていただき、ありがとうございました!