こんにちは!
いつもご覧いただきありがとうございます。
ゴルフフィジオトレーナーのケイです。
今回は私が整形外科に勤務していて、腰椎椎間板ヘルニアを患って来院された方を紹介します。
この方もゴルフが趣味だったのですが、ヘルニアを発症してからは腰の痛みにより中断を余儀なくされていました。
しかし、時間の経過とリハビリによって症状は寛解し、またゴルフに復帰できるようになりました。
※決して私の治療技術が優れていたり、特別なテクニックがどうこうというわけではありません。
腰の負担を減らすためのトレーニングやフォームの修正を行った結果、無事にプレーに復帰できたという症例の紹介です。
なぜ実際の症例を紹介しようと思ったのかというと、
同じ疾患や似たような症状を持ってゴルフを諦めている方の参考になればと思い、今回書くことを決めました。
症状の重さや種類は人それぞれですが、すぐできるトレーニングやフォームの調整なども紹介していますので少しでも参考にしてください。
腰椎椎間板ヘルニアの患者さんを担当しました
患者さんが来院して担当したのが去年の6月くらいでした。
60代の男性で、普段は営業職のため外回りで歩くことが多いそうです。
去年までは休日に趣味のゴルフをやっていたそうですが、今シーズンは症状が出てから休んでいるそうです。
痛みがあると仕事にも影響があって困るのですが、出来ればゴルフにも復帰したいということでした。
数ヶ月前に腰の痛みと足のしびれ
来院のきっかけになった症状としては・・・
・足に力が入りにくい
・歩いたり、スイングをすると腰が痛い
という訴えがありました。
医師の診断結果としては、第4腰椎と第5腰椎の間の椎間板ヘルニアということでした。
椎間板ヘルニアとは、腰椎(背骨の腰の部分)の間にある椎間板というクッションのような組織がストレスにより後ろに飛び出て神経を圧迫してしまう疾患です。
図のベージュ色の部分が椎間板です。
これが後方(図でいうと左方向)に飛び出すことによって、神経を圧迫して痺れや痛みを発症します。
その後3ヶ月間は2週間に1回くらいのペースで来院してもらい、リハビリを継続しました。
自宅でのセルフトレーニングも積極的に行っていたこともあり、3ヶ月後には症状がほとんどなくなっていました。
ここではリハビリの内容は割愛しますが、腰の負担を減らすストレッチと腰周囲の安定性を向上するトレーニングを中心に行ってもらいました。
3ヶ月後には医師からのゴルフ復帰の許可が出たので、リハビリで復帰に向けてフォームのチェックと改善を行い、少しづつ練習を開始していきました。
インパクトからフォロスルーにかけて腰が痛い
ゴルフに関して聞いていくと、去年からゴルフ中に腰が痛いことはよくあったそうです。
特にスイング中の、インパクトからフォロースルーにかけて腰にズキっとした痛みが走っていたとのこと。
これは確実にスイングが腰にも悪影響を与えていたと思われます。
復帰に際して腰に負担のかからないようなスイングに改善していく必要がありそうです。
ゴルフ復帰するには何を改善するべきなのか??
では具体的に何を改善していったかのかを紹介します。
もしスイング中に腰が痛かったら、自分は大丈夫なのか?をチェックしながら読んでみてください。
プライバシー配慮のため、姿勢やフォームはイラストを作成してご紹介します。
アドレスが猫背になっている
一つ目はアドレスの時点で猫背になっている点です。
背骨(脊柱)はまっすぐの状態で回転すれば、大きな負担はかかりません。
そのためゴルフのスイングも基本的には脊柱はまっすぐをキープしておきます。
※まっすぐと記載していますが、脊柱は構造上生理的彎曲というS字の形をしています。
脊柱がまっすぐの状態であれば、腰椎と椎間板は綺麗に回転運動を起こしてねじれを作ってくれます。
後方にある神経が椎間板により圧迫されることもありません。
しかし、猫背のアドレスになると・・・
このように腰椎が前方に傾くため、椎間板に強い圧力がかかってしまいます。
その結果、椎間板は後方に出てきてしまい神経を圧迫して痛みがでる原因となるのです。
この方の場合は綺麗な前傾に必要なハムストリングスの柔軟性が低かったため、自分でできるストレッチをお伝えして自宅で続けてもらいました。

股関節の内旋が硬い
次に股関節の内旋も硬さがありました。
内旋って何??という方はこちらで解説しています。

これが硬いとスイング中の側屈の原因になってくるため改善する必要がありました。
この方は特に自宅でもあぐらをかいて生活することが多いみたいで、それも内旋が硬くなる理由の一つだと思います。

床で生活することが多いから、あぐらの時間が長いんだよね

そんな方は内旋が硬くなってないか注意が必要ですよ!
肩甲骨、胸椎の動きも悪い
最後にもう一つ、肩甲骨と胸椎の動きも硬くてあまり動きがありませんでした。
腰の部分の背骨を腰椎と呼ぶのに対して、胸の部分を胸椎と呼びます。
これらが動いていないと、いわゆる「肩を入れる」という動きがテイクバックでできにくくなります。
そのため、どこでテイクバックのねじれを作るかというと「腰椎」です!
つまり腰が痛い方は、その上の方の背骨である胸椎も硬い人が圧倒的に多いんです。
肩甲骨の重要性と柔軟性を出すトレーニングについては次の記事で解説しょうと思います。
では実際にどのようにフォームの改善を行っていったのかを紹介します!
明日からにでもすぐ出来るようなものなので、ぜひ練習場で試してみてください。
クローズスタンスにしてテイクバックの負担を減らす
え?クローズスタンスにしたら右に向いて、ボールも右に飛ぶんじゃないの?
と思う方もいるかもしれませんが、ボールの方向はほとんどフェース面の向きで決まると言われているので問題ありません。
男子プロで言うと、「バッバ・ワトソン」選手なんかはオープンスタンスから打ってますよね。
でも別に左にすごい飛んでしまうことはありません。
骨盤から回りやすくなり腰の負担が軽減する
クローズスタンスにすると言うことは、右足を後方に少し引くと言うことです。
そうすることで、テイクバックの時に骨盤が右方向へ回転しやすくなります。
股関節が硬くて内旋があまり動かない方にオススメのスタンスです。
※ただし、クローズにしたからと言ってフェースも右を向いてはいけません。
フェースは目標物に合わせるのを忘れずに!!
この方はクローズスタンスで素振りをしたところ、

「トップまでがスムーズにもっていきやすい!」
とおっしゃっていました。
左足はオープンにしてフォロースルーの股関節の回転を
もうひとつ行ったフォームの改善としては、左のつま先を少しオープンにしました。
先ほどのクローズスタンスでトップまでは回旋しやすくなりました。
しかし、インパクトからフォロースルーは反対に回旋するので回りにくくなってしまうというデメリットがありました。
インパクトの後に回旋しやすくなり腰の回旋を減らす
そのため、左のつま先を少し開いておくことでインパクトの回旋の勢いをそのまま骨盤の回転につなげやすくする必要があったのです。
そうすることで、腰をに捻ることによる代償を防ぎストレスを減らすことを目的としました。
つま先が正面を向いていると、フォロースルーで左股関節の内旋が必要となります。
しかしこの方は股関節も硬いので、つま先を開くことで股関節の動きが少なくても骨盤が回旋出来るようにしました。
室内で短い練習器具を使ってスイングしてもらいましたが、フォームは大きく変えていないので大きな違和感なくスイングができていたようです。
その後、練習場から初めて1ヶ月後にラウンドにも行ってみたそうです。
痛みなくラウンド復帰できたと報告を受けました
その後、無事ラウンドできたという報告をいただきました。
18ホール回って疲労感はあったけど、腰に特に痛みを感じずに回ることができたそうです。
好きなゴルフをヘルニアのせいで辞めることにならなくて、本当に良かったと思っています。
最後に
今回はフォームを修正することで腰の負担を減らす工夫をしました。
しかし、根本的には股関節や肩甲骨の柔軟性を出すためのストレッチを行ったり、体幹の安定性を向上するようなトレーニングが必要です。
ヘルニアは早い段階で対処できれば、手術せずに悪化を防げます。
他の腰痛もガマンして放っときながらゴルフを続けているといずれは悪化します。
予防って面倒だし、やっぱり上達することにみんな興味があると思うんです。
でも、いくら上達しても怪我をしてゴルフができなくなったらそれ以上に悲しいことはありません。
この症例の紹介を通して、腰痛に悩んでるあなたが解決への一歩を踏み出せること、健康的にゴルフをずっと続けていけることを願っています。
何かわからないことがあれば気軽にメッセージ待ってます!
ここまでご覧になっていただき、ありがとうございました!