こんにちは!
いつもご覧いただきありがとうございます。
ゴルフフィジオトレーナーのケイです。
今回は飛距離を出すにはどうしたらいいのかを、解剖学的に考えていきたいと思います。
ゴルファーたるもの、スコアも大事ですけどドライバーで遠くに飛ばしたいですよね。
私は普段ドライバーで240〜260ヤードくらい飛ぶのですが、400ヤードを超える長いPar 4 だと2打目の距離が残ってしまうので、もう少し安定して飛距離を出せたらスコアメイクも楽なのになーと思っています。

なるべく小さい番手を使えた方がコンロトールはしやすいですもんね
女子プロでも250ヤード以上飛ばす人はいっぱいいますから、やはり飛距離は筋力だけでないことがわかりますよね。そこで重要になるのが「SSC」です!
詳しくは下で説明しますが、飛距離アップのコツは筋力ではなく筋肉の使い方にあるということなんです。
やっぱり飛距離には筋力が必要
今、飛距離で大事なのは筋力じゃないって言ったばかりじゃん!と思ったそこのあなた。
一口に筋力と言ってもいろんな種類があるのをご存知ですか?
筋力のうち一つは、筋肉が細くてもうまく使えばすぐにでも向上することができるんです。
筋力の種類は3つ!
筋力には大きく分けて3つあります。
・筋持久力(どれだけ耐えられるか)
・筋パワー(どれだけ速く動かせるか)
一つ目の最大筋力は、いわゆる筋力が強いというものです。マッチョの人が腕相撲で強い力を出すとか、握力でリンゴを潰すとかが当てはまります。
2つ目の筋持久力は、同じ動きを何回繰り返せるかというものです。マラソンをしていて足が疲れてくる、ずっと立ってると足が震えてくるというのが、これに当てはまります。
最後の筋パワーこそが、ゴルフの飛距離において重要なのです!筋パワーとは、どれだけの重さをどれだけ速く動かせるかという筋力になります。
例えば、短距離走で足を早く動かすことやボールを投げるために腕を早く振るという動作において必要になります。
たとえ、50kgや100kgのドライバーがあって、それを持ち上げて振れる最大筋力があったところで速く振れないとヘッドスピードは上がらないし飛距離も出ないですよね。
一般的なドライバーの重さは男子で300g前後なので、強い力は必要なく速く動かすめたの筋パワーが重要になってくるのです。
使い方一つで筋パワーは上がる
GDOによると、女子プロのドライバー平均飛距離は240ヤード前後だそうです。
では、私たちアマチュアの飛距離はどうでしょう?もちろんもっと飛ぶ方もいると思いますが、多くは同じくらい、もしくはそれより飛ばないかになるのではないでしょうか?
じゃあ女子プロより握力が低いのか、腕相撲したら負けるのかというとそんなことはないですよね?
もちろん飛距離を出すには色々な要素がありますが、そのうちの一つが筋パワーです。女子プロは筋パワーを発揮できる体の使い方をしているので、最大筋力が強くなくても飛距離を出せているのです。
では、どのような使い方をすると筋パワーは発揮されるのでしょうか?
飛距離アップのキーワード「SSC」とは「伸長短縮サイクル」のこと
ではお待ちかね、飛距離アップのキーワード「SSC」を解説していきます。SSCとはStretch-Shortening Cycleの略称になり、日本語だと「伸長短縮サイクル」と呼びます。
筋肉が伸長(ストレッチ)されてから、短縮(筋肉が縮む)する動きということです。
なぜ筋肉が縮まる前にストレッチされると、強い筋パワーが発揮されるのでしょうか?
伸長短縮サイクルはジャンプの前にしゃがむのと同じ原理
高くジャンプしようと思ったら、あなたはどうしますか?飛ぶ前に一回深く勢いよくしゃがみますよね?
ジャンプするときには、太ももの前の筋肉が速く縮まないと飛べないのですが、速く縮ませる(短縮)ために一度しゃがんで伸ばしてから(伸長)飛ぶことで高く飛んでいるのです。
それには2つの解剖学的メカニズムが関係しています。
筋肉もゴムのような弾力のある組織になっており、常に縮まろうという力が働いています。これを静止張力と呼びます。
輪ゴムを想像してください。輪ゴムは伸ばせば伸ばすほど、バチンと縮まる強さが強くなりますよね?筋肉も同じく伸ばせば伸ばすほど、縮まる力(静止張力)が強くなるのです。
つまり、しゃがむことで太ももの前の筋肉が伸びて静止張力が高くなります。そのため、立ってる状態よりも高くジャンプする力が出せるんですね。
伸長反射。なにそれって感じですよね。笑
世代によってはわからない人が多いと思いますが、「かっけ」の検査のことです。
「かっけ」を知らない人でも、一度は遊びでやったことがあると思います。
ひざのお皿の下を叩くと、ひざが勝手にポーンと伸びるあれです。
知らない人は今やってみてください。ひざが勝手に伸びますから。笑
これを伸長反射と呼ぶのですが、これには筋肉の長さのセンサーである筋紡錘が関係しています。
筋紡錘は筋肉が伸びたり縮んだりしたことを感じ取るセンサーで、筋肉の中に存在しています。
詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照ください↓↓

つまりジャンプにおいては、勢いよくしゃがむことにより 、ひざの前の筋肉が急激に伸ばされます。すると筋紡錘が「筋肉が伸びた」と感じ取り、縮まるように神経を通じて命令を出します。
その結果、飛ぶときに太ももの前の筋肉が縮んでひざが伸びるんです。これが伸長反射です。
この二つが「SSC」によって強い力が発揮されるメカニズムになります。
では、このSSCをゴルフスイングに置き換えて考えるとどうでしょうか?
切り返しで止まってはSSCは発生しない
ゴルフスイングにおいて、反動をつける動きはテイクバックからダウンスイングにかけての切り返しが当てはまりますね。
テイクバックからトップにかけて骨盤から上の上半身は右方向を向きます。その時に、少なくとも10数個の筋肉が伸ばされています。
これらの筋肉において、ダウンスイングへの切り返しの時にSSCが発生することで強いスイングができるのです。
しかしスイング中にそれぞれの筋肉を意識することは不可能です。人間は一度に2つから3つの事しか意識はできません。
そのためSSCを最大限に利用するために意識することは一つだけです。
「切り返しで止まらない」
この意識を持って練習をするだけで、筋肉は伸ばされて反動がつきSSCが発生します。ボールに当てようと思いトップで一度ピタッと止まる方がいますが、それではSSCは発生せず筋パワーは弱いままです。
切り返しにおけるSSCの働きを「X-ファクター」と呼びますが長くなるので、別の記事でまた紹介します。
飛距離に悩んでいる方は、まずは「切り返しで止まらない」ことを意識してスイングをしてみましょう。
まとめ
今回は筋肉のパワーを最大限に引き出して飛距離を伸ばすために必要な機能「SSC」について解説しました。
最近は「切り返しで止まらない」というスイングが良く聞かれるようになりましたが、なぜ止まってはいけないのかが疑問であった方もいるのではないでしょうか?
解剖学的にも切り返しで止まらないことは、テイクバックによる反動をうまく使いSSCを発生させることができるので、ゴルフスイングにおいては非常に重要だと思います。
今回のまとめとしては・・・
ということになりますね。
あなたもぜひ練習場で意識してスイングしてみてください。